アグリNavi 今月の農作業(7月)柑橘
JAありだ営農指導課
管内全体的に着果量にバラツキがあります。これから摘果の時期に入りますが、極早生や中晩柑類等の着果の多い樹から始めて下さい。バラツキが大きい分、例年以上に樹の状態に応じた管理を心がけて下さい。
また、病害虫防除については、気象条件によって発生時期が変わりますので、発生状況に注意し適期防除に努めて下さい。
摘果
■摘果の目的
摘果作業は、着果量を適正にすることで、隔年結果防止や果実肥大を促進します。また、果実の外観や果実内容に大きな影響を与えます。それぞれ着果状態に応じた摘果を行って下さい。
今年度は着果量のバラツキが園地や樹によって非常に大きい年となりました。着果の少ない樹は粗摘果は控えめにし、仕上摘果に重点を置きましょう。着果量が多く新葉の少ない樹では、通常通りの早い時期から摘果を進めて行きましょう。
■粗摘果(あらてっか)
粗摘果は、二次の生理落果終了後、7月上中旬頃から始めましょう。粗摘果で落とす果実は、外観の悪い果実や糖度の上昇し難い果実を摘果して下さい。
外観の悪い果実は目で判断できますが、果実内容の善し悪しの判断は、7月時点では難しくなります。まずは日当たりが悪い樹冠内部のフトコロ、スソの果実を全摘果しましょう。粗摘果で落とす摘果量は、樹全体の着果量の2~3割を目安に行って下さい。
高品質なミカンを生産するためには、着果ストレスをかける事が重要となります。粗摘果で表面の果実を落とし過ぎると、着果ストレスはあまりかからず、大玉果になったり、糖度の上昇がし難くなります。粗摘果ではフトコロやスソを中心に行い、仕上摘果では、表面の摘果を行うように仕分けして摘果を行って下さい。(図1)
病害虫防除
■黒点病
黒点病の菌は、枯れ枝などに潜んでおり、温度の上昇と降雨によって急激に増殖します。特に梅雨時期である6、7月には発生が多くなります。
前回の散布からの積算降水量が200から250ミリを超えた場合や、20日を経過すると防除効果が劣りますので、これらを目安に再散布を行ってください。週間予報を活用し、計画的に防除を行いましょう。
■チャノキイロアザミウマ
マキやサンゴ樹などの防風樹のある園地や、夏秋梢が多い園地では発生が心配されます。また6月中下旬頃から他の奇生植物の春芽が硬化し終わるため、奇生に好適な部位が少なくなり、果実への奇生割合が高まります。
防除薬剤として、6月中下旬でのアドマイヤーフロアブル3,000倍、7月上中旬でのコテツフロアブル4,000倍を使用し防除して下さい。
■ミカンサビダニ
7月頃になると果実に加害を始めます。昨年発生がみられた園地では、予防的な防除が必要となります。薬剤はコテツフロアブル4,000倍を使用して下さい。
■ゴマダラカミキリ
幼虫が樹体内で越冬し、成虫は6月中旬頃から発生します。薬剤は6月中下旬にアドマイヤーフロアブル3,000倍、7月上中旬でのスプラサイド1,500倍でカイガラムシ類との同時防除が可能です。7月中旬以降になると、主幹部に産卵を始めますので、モスピラン400倍を株元散布して下さい。
水分管理
■かん水
梅雨時期に降雨が少ない場合は、かん水を行いましょう。雨が少ないと、初期肥大に影響し、8月以降の乾燥時期に樹勢を保つために、樹勢の維持は非常に重要です。
除草
梅雨明け後に、雑草との養分や水分の競合を防ぐために、園内の除草を行って下さい。
今月の豆知識
日焼け果は人災かも?
単に日差しが強いことで発生すると思われがちです。しかし、それが原因だとすると表面付近の果実のほとんどが日焼けの被害を受ける事になります。近年、夏の日差しが強く昨年の夏のように高温干ばつで推移すると日焼け果の発生が多くなるはずですが、意外と昨年は少なかった様に思います。
実際は摘果の早い園地や着果量の極端に少ない樹ほど被害が多く、降雨後に被害果が発生する事から、果実への養水分の流れと日差しの強さが日焼けに大きく影響しています。果梗枝の太い上向きの果実に被害が多いのはそのためだと考えられ、下垂した果実に日焼け果は発生しません。
果実肥大目的で、粗摘果時期に表面の果実を摘果し過ぎると、果実と果梗枝が粗く枝が下垂しにくくなり、上向きの果実が多くなるため日焼け果が増加します。摘果のタイミングや方法で日焼けの被害を少なくできるかも知れません。