今月の農作業(4月)柑橘
JAありだ営農指導課
品種更新
老木園や品質不良園は計画的に品種の更新を行いましょう。
品種の構成が悪く偏りが出来てしまい、摘果・収穫等の諸作業が遅れたり、ムリをしていませんか?
適期に諸作業を実施・完了できることが、高品質果実の生産・出荷につながります。新しい品種に飛びつくことなく、導入する品種の特性や、自園の品種構成等を十分に考慮し選定しましょう。

過去に比べ着色が遅い・品質が上がりにくい・浮皮が防げないと感じませんか?
過去の気象状況と比較すると秋期の気温は高く降水量は多いため、品種によっては着色遅延・果実品質の低下・浮皮が問題になっています。
日南早生などの極早生品種(ゆら早生は除く)や向山温州などの中生品種が対象になりますので、計画的に更新をしましょう。
植栽計画
苗木の植栽間隔は、成木になった時に樹冠がどの程度の幅になるかを考慮して、植栽間隔を決定しましょう。
苗木の植栽間隔は『間伐を前提に』ですか?
早期成園化を目的とし、間伐を前提に植栽される方もいます。しかし、植栽間隔によっては間伐すると樹間が広すぎてしまい、空いた空間に枝葉が伸びることで巨大樹になり、諸作業が困難になったり、隔年結果の要因にもなります。
間伐を前提としても、成園・間伐時にムダに空間が広がり過ぎない間隔を考慮しましょう。
「成園時にちょうど良い樹間」のために「定植時にムダに広めに植えておく」ということではありません。
苗木の定植
定植の適期は4月上旬です。定植後の安定的な成長のために、苗木の定植作業は丁寧に行いましょう。
定植後に晴天が続く場合は、土壌が乾燥しないように、10日間隔でかん水しましょう。
主枝は、階段状に発生した枝2 ~ 3 本を選抜しましょう。将来、主枝と主枝が競合するような配置にあるものは主枝としてふさわしくありません。
株元から出た力枝等、将来主枝と競合するような枝は、強勢で果実品質も良くありません。早めの切除を心がけましょう。
支柱は、苗木が強風で動かないようにすることはもちろんですが、主枝(将来の樹姿)の方向性を固定化するため必要です。

病害虫防除
農薬散布時には使用基準を守り、隣接する住宅などに薬液が飛散しないよう配慮するとともに、薬液が河川等に流出しないよう、十分注意して下さい。
病害虫名 | 時期 | 薬剤名 | 倍数 |
---|---|---|---|
ハダニ・カイガラムシ類 | 発芽まで | 夏用マシン油 | 60~80倍 |
そうか病 | 発芽直後 | デランフロアブル または、 |
1,000倍 |
トップジンM水和剤 | |||
かいよう病 | 発芽前 | ICボルドー66D | 40倍 |
加用 アビオンE | 1,000倍 |
春肥の施用
春肥は開花期以降の春梢の充実・幼果の発育に利用されることから、生育の重要な養分になります。
肥料のタイプ(肥効のスピード)に応じて、3月中旬から4月中に施用しましょう。
樹によって結果母枝量のバラツキが大きい傾向です。自園の樹勢や着花予測(表年なのか裏年なのか)を考慮し、基準に対して調整しましょう。
平成30年度の様相 | 春肥施肥量基準 (10a当たり窒素成分で8kg) |
コメント |
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表年 結果母枝が多く 着花過多が予想される園 |
基準量 (10a当たり窒素成分で8kg) |
新梢が弱い場合は新梢伸長期(開花期)に追肥(N2~4kg)、あるいは窒素系の葉面散布(尿素500倍等を7~10日間隔で2~3回)を実施しましょう。 |
裏年 結果母枝が少なく 新梢発生量が多い園 |
基準量よりやや多め (10a当たり窒素成分で10kg) |
果実が少ないから肥料も少なくて良いと思っていませんか? 次年度の着花にはC(炭水化物)とN(窒素)のバランスも影響します。多く発生した新梢で光合成され、樹体養分がC(炭水化物)に偏ると、さらに花が多くなるので、十分に肥料養分を吸収させましょう。 |
除草
気温が高くなると春草の成長が旺盛になるので、早めの除草を心がけましょう。
春肥の成分が春草に吸収されると、肥効が大幅に遅れ、果実品質に影響が出る場合があります。また、早めの除草は地温を高め、開花を揃えることにもつながります。