今月の農作業(11月)柑橘・山椒
JAありだ営農指導課
柑橘
樹上選別
収穫前に園地を見回り、日焼け果・大玉果・病害虫被害果等の商品価値の低い果実を除去して下さい。なお、ポイントとして天成り果等は果実だけでなく果梗枝ごとハサミで基部から切除することが重要です。
天成り果等の立った果梗枝は摘果・収穫後、春に強い芽が発生します。その芽には再び軸太で大玉低品質な果実が着果し、それを繰り返すことで樹形の乱れ、樹冠拡大、隔年結果の要因となりますので、樹上選別のタイミングで除去しましょう。(図1参照)
今年は日焼け果が非常に多い傾向です。8月が平年に比べ高温であったことも多発した一つの要因ですが、そもそも前述のような天成り果・立枝が多くなるような栽培管理が大きい要因です。実際、樹の表面の摘果が早すぎるため、果梗枝が垂れずに日焼け果になることや、樹勢が強すぎ、立枝着果による日焼け果が発生していますが、摘果を遅らせ果実を垂れさせた樹では発生が少ない傾向です。
長梅雨・高温など、今までにないような外的環境の影響により、適正な栽培管理が困難になってきています。今後は、より枝梢・着果の栽培管理を見直していく必要があります。
分割採果
分割採果とは2回に分けて収穫することです。早生系統では園地にもよりますが、11月上中旬に上部か、表面の果実を半分程度収穫します。残した下部の果実を20日〜30日後に収穫することにより、浮皮果やニエ果・過熟障害果等の発生を最小限に抑えることが出来ます。また残した果実は葉果比が高まることにより、糖度の上昇も期待出来ます。
秋肥の施用について
秋肥は樹勢回復と耐寒性の向上、花芽の分化や新梢の伸長充実などに影響し、連年安定生産のために重要な肥料です。地温が12℃を下回ると肥料成分の吸収が悪くなるため、11月上中旬までに施用して下さい。また肥料を撒いた後、降雨があってはじめて施用日となるので注意して下さい。施用量は、10a当たり窒素成分で12kgを目安に施用して下さい。果実が少なかった樹にも施用して下さい。着果量が少ない樹ほど養水分を引き上げる果実が少ないため、樹勢が低下する恐れがあります。肥料を欠かさず施用して下さい。
着果過多樹およびマルチ・フィガロン等で樹にストレスをかけた場合は、窒素主体の液肥を2〜3回葉面散布して樹勢回復に努めて下さい。
山椒
ブドウサンショウの苗木定植
植え位置の決め方
まず、植え位置を決めるときは、樹と樹の間を最低4mあけましょう。(樹が大きくなった時に作業効率が良いため)
平地の場合には苗木を植える周りを高畝で準備し、多湿にならないように気をつけて下さい。定植の仕方は平行でも千鳥でも構いません。
苗の準備
基本的に山椒苗は接ぎ木がされています。また定植時に今後の樹形を想定し、芽の位置を確認しながら第1回目の剪定を行います。(剪定位置は地際部分から30〜40cmくらいの高さ)
定植時の注意点
- 芽の方向を揃えます。(大きくなった時に枝同士が当たらないように)
接ぎ木部分は土で埋めてしまわないよう注意しましょう。 - 定植後は支柱を立てて縛ります。(苗木を風から守るため)
樹形の仕立て方
収穫しやすくするためにできるだけ低い樹形を作るということを心掛けて下さい。
3年目までは支柱を1~3本程度を使って、主幹(中心となる幹の部分)を動かないように守りましょう。特に台風などの強風には注意して下さい。
枝が立ってくる場合は、ある程度枝を寝かせるように誘引しましょう。