今月の農作業(3月)柑橘
JAありだ営農指導課
柑橘
剪定の目的 ・ 基本
ミカンの剪定は弱剪定が基本となり、強剪定を行うと、樹形を乱したり品質の低下を招いたりします。
剪定の目的は主に次の4つになります。
- 管理作業の効率化と骨格作り
- 隔年結果の防止と樹勢維持
- 樹冠全体に日光が当たるようにするとともに、果実の高品質化と均一化
- 病害虫に侵されている枝の除去と、発生の抑制
剪定は、作業上邪魔な枝を切るだけの作業ではありません。高品質果実を連年生産するには葉が重要ですので、作業効率だけを考えた剪定では、単純に葉の数を減らし、良い果実がなるはずの枝まで切っているとも考えられます。高品質果実を連年生産するには葉が重要です。葉果比という言葉があるように葉の数が多くて、マイナスに働くことはありません。葉を減らすことのリスクを踏まえて剪定してあげる事が大切になります。
整枝・剪定のポイント
以下の図を参考にしながら、各枝の説明を行います。

裏年樹の剪定
裏年樹は果梗枝の整理を中心に行ってください。上向きの果梗枝は、強く伸びる新梢の発生源になりやすく、樹形を乱す原因になります。これまで裏年の剪定は、花芽が確認できるようになってから実施するとされてきましたが、果梗枝の整理には時間がかかり、整理不足になると翌年の着花が多くなり、隔年結果が助長される結果となるため計画的に実施してください。
また、発芽期以降、芽かきや被さり枝の除去を行うことで新芽との養分の競合が抑えられ生理落果を軽減します。令和3年産は裏年が予想されるので少ない結果母枝を大切にする剪定を心がけましょう。
表年樹の剪定
先述のように主枝や亜主枝の整理を行ってください。切除する葉数が全体の2~3割の場合は、今年の剪定はそこまでとなります。また、大きな枝を切る際は幹に沿って切るようにしてください。
着花過多が予想される樹において、 新梢の確保をするために剪定量を増やしたものの、 発芽量が少なく葉数を減らしたという経験をされた方もいると思います。発芽も重要ですが、 まずは主枝を立て亜主枝が水平になるようにし、 発芽と着花のバランスを整えることを意識してください。 そこに摘蕾・摘果を組み合わせて隔年結果の対策としましょう。
カイガラムシ類 ・ハダニ類防除
温暖化の影響もあり、カイガラムシ類の多発が問題となっています。マシン油は有効な手段となりますので、冬マシン油を散布していない園地では、マシン油乳剤(97%)60倍を3月中下旬に散布してください。なお、幼木や樹勢の低下している樹は散布を控えてください。ICボルドーとは14日間散布間隔を空けてください。