今月の農作業(3月)柑橘
更新:2022年4月27日
柑橘
剪定作業
剪定作業の目的と注意
整枝・剪定作業の目的は、以下の通りとなります。
- 樹勢の維持
- 作業性の向上
- 病害虫の発生予防
- 骨格の維持
上記の中で特に注意することは無理な樹高の切り下げや縮伐を行った場合、「作業性の向上」を達成できたとしても、「果実品質の低下」や「連年結実しにくくなる」などの影響が出ることです。逆に、無剪定や弱剪定の園地では、昨年度のように秋以降乾燥状態が続いた場合、枯れ枝が増え、病気が多発したり、果実肥大が鈍ったりします。
毎年、品質と樹勢の維持を両立できるように行うことが重要です。
剪定で切り落とす枝
剪定の際に主に取り除くのは次の枝です。
- 同年枝(図中1、2)
- 徒長枝(図中3)
- 内向枝(図中4)
- 下垂枝(図中5)
同年枝
同年枝とは、文字通り同じ年に発生した枝の事を指します。発生した同年枝を放置してしまうと、主枝の数を多くなったり、骨格が複雑になったりします。樹形をシンプルな形にするためにも同年枝は切除してください。
徒長枝
徒長枝は、主枝が寝てしまっている状態や間違った切り方をした場合に発生します。前述にもあるように無理な樹高の切り下げや主枝を寝かさないように管理することが重要です。すでに出てしまった徒長枝を切除する場合は、必ず一度着果させてから切除してください。
内向枝
徒内向枝は、主枝が傾くことで内向きに発生します。この枝は樹勢が強いため、着果する果実の品質が悪く、浮皮の発生が多くなります。この枝も切除する場合は一度着果させて切除させてください。
下垂枝
地際の果実はスレ傷や品質の悪い果実になります。地面につきそうな枝では水平な枝のところで切除してください。
実際に整枝・剪定作業を行う
実勢に剪定を行うにあたり、一度の剪定で樹形を整えるのではなく、数年かけて少しずつ行うことで収量、品質への影響を少なくすることができます。剪定量は、樹全体の2~3割程度に抑えることが重要です。また、最大のポイントは主枝の先端を明確にし、しっかりと立たせることが重要です。
密植園の管理作業
樹が成長し、樹間が狭くなっている園では、病害虫の多発、日照不足による果実品質の低下に加えて、作業効率の低下などが問題として挙げられます。これらの問題の対策として、間伐や縮伐、整枝といった様々な方法がありますが、間伐を行う前に、まずは、整枝・縮伐で空間を確保できるか確認しましょう。
病害虫対策
令和3年は落弁期に降雨が多く、適期に防除が出来なかったことで灰色かび病が多発したと考えられます。その中でも山間部などの開花の遅い園地や樹勢の弱い品種で被害が大きくなった傾向です。灰色かび病の被害が多かった園地では、満開期と落弁期の2回散布を徹底してください。一回で行う場合は落弁期に散布してください。