農業者インタビュー
土と水とわたし#9
更新:2023年6月29日
今回は和歌山県有田市で多品目栽培に取り組む花野仁志さんにお話を伺いました。レモンや水稲、にんにく、不知火・南津海・清見などの中晩柑と5年前からバナナ栽培を開始しています。
就農のきっかけを教えてください
元々、家庭菜園や土とふれあうことが好きで、モノづくりや農業に興味があり、約15年前に勤め先を退職して農業を始めました。しかし、有田地域は温州ミカンの一大産地、「これからミカン栽培を始めても、年齢や技術では周りの人にかなわない」と思いました。
米づくりやにんにく、レモン栽培を経験し、ふとこれから先の農業経営について考えました。将来的な温暖化について、日本の気候に適した果物など、色々と考えました。その結果、約5年前に休耕中の田畑を利用してバナナ栽培を始めました。
バナナ栽培は珍しいですが、難しくありませんか
栽培方法に関しては、沖縄県で見つけた文献を参考にしながら、独学で学びました。バナナは、水分管理がとにかく重要で、水田のメリットを活かしながら効果的にかん水ができています。バナナは、従来温暖な気候で栽培されているため、寒さには弱い果物です。私が育てている「アイスクリームバナナ」という品種は、耐寒性に優れ日本の風土にマッチしたものを選び、また、少しずつ冬期の寒さに耐えられるよう、環境に慣らす工夫も施しています。 私には失敗という言葉はありません。失敗から学ぶことはとにかく多く、いろいろなことにチャレンジしながら消費者のために汗を流すことが、日々のモチベーションに繋がっているんです。
やりがいについて教えてください
バナナの収穫作業は、毎年10月から11月にかけてです。市場への本格的な出荷は今年(令和5年度)から。昨年までは、地元の小学校や地域の方々にプレゼントして大変喜んでいただきました。
一年の集大成がそこにあるので、無事に実ってくれた時が本当に一番嬉しいです。仕事のやりがいは、そんな手塩にかけたバナナをはじめとする農産物が消費者に手に渡り、喜ばれたときに感じます。
日々、勉強することばかりで充実していますし、これからも環境に合わせた農業を常に考えながら、さまざまなことに挑戦し続けていきます。
プロフィール
花野 仁志
- 生産している主な農産物 バナナ、レモン、水稲、にんにく、不知火、南津海、清見等
- 営農地域:和歌山県有田市
日々の研究やモノづくりが好きで、さまざまなことにチャレンジしたいと思っています。今後も市場研究をしながら、南国のフルーツや野菜類に挑戦していきたいと考えています。