農業者インタビュー

農業者インタビュー

土と水とわたし#13

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更新:2023年10月26日

今回は和歌山県有田川町で水稲栽培に取り組む西林輝昌さんにお話を伺いました。西林さんは「日本の棚田百選」に選定されているあらぎ島で、お米作りのほか伝統や文化の継承にも力を入れています。

就農のきっかけを教えてください

料理を学ぶために料理学校へと進学、和食・洋食屋で修行を重ね、二十歳を過ぎた頃に帰郷し家業の料理店を2代目として支えてきました。料理人としての道を歩むなかで農業を始めるきっかけとなったのは今から約40数年前、結婚を機に親戚から「あらぎ島」の圃場を譲り受け、「後を継いで欲しい」と言われたことと、当時、町おこしで訪れていた先生の「この先の食糧事情がどうなるかわからないから、家族が食べる分は自分たちで作りましょう」という言葉に刺激を受け、米づくりを始める決心をしました。

農業を始めて、どうでしたか  

就農当初は、料理人と農家の兼業で、忙しい時にはなかなか圃場に出られないこともありました。そのため、当時は収穫遅れによる品質低下など農業の難しさや厳しさをたくさん経験しました。しかし、周りの生産者の方々が病害虫被害の発生状況を教えてくれたり、色々と助けてもらっていました。「農業をしている人は、よく園地に出向き、観察しているな」と感心しました。                                 

農業に対する今の思いを教えてください

あらぎ島で米づくりをすることは、地域の伝統を守っていくことでもあります。毎年あらぎ島では、小学生を対象に田植えや稲刈り体験、伝統料理づくりなどを教える授業を開催します。体験を行う圃場の提供や、語りべを務めることで農業の原点を子どもたちに教えられることを誇りに感じています。

また、最近では「あらぎ島景観保全保存会」の若手メンバーのサポートをしながら、これからの担い手たちを盛り上げることにも力を入れています。子どもたちに伝えていくことと同時に、文化の継承や更なる地域振興のためにも若手と一丸となって頑張っていきたいです。

これまで体調管理に気をつけながら、ひた向きに農業に励んできました。地域の伝統を今後の担い手に引き継いでいくため、これからも日々奮闘していきます。

プロフィール

西林 輝昌

  • 生産している主な農産物 水稲
  • 営農地域:和歌山県有田川町

毎年あらぎ島では、稲刈りシーズンになるとテレビ取材が来ます。放送シーンを見た旧友から、「元気に頑張っているね」と連絡をもらうことが繁忙期の活力に繋がっています。