農業者インタビュー

農業者インタビュー

土と水とわたし#20

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更新:2024年5月30日

今回は和歌山県有田川町でぶどう山椒を栽培する篠畑雄介さんにお話を伺いました。6年前に大阪府から有田川町へ移住、新規就農者として地元のブランド山椒の栽培に取り組んでいます。

就農のきっかけを教えてください

和歌山県の特産品を扱う事業を手掛けていた際、清水産ぶどう山椒に出会いました。どちらかと言えば、山椒を食べるのは苦手であまり好きではなかったのですが、清水産ぶどう山椒の風味や緑色の鮮やかさに感動しました。話を聞くと産地の担い手不足や高齢化が深刻で産地の危機に直面しているという。この現状を知り、ぶどう山椒を守りたい、自分にもぶどう山椒の栽培ができないか、との思いで就農を決意しました。

栽培方法はどのように学びましたか

移住後、3年間は山椒農家のもとで農作業を学びながら、ぶどう山椒農家として経験を積みました。周りの先輩農家やJAの営農指導員のもとにも積極的に訪問し、知識や技術の指導を仰ぎ、移住から4年目に自身の山椒園地をスタートしました。自身でも試行錯誤しながら、作業負担を限りなく軽減する、作業効率がいい園地づくりに力を入れています。山椒園地には初年度に100本、翌年・翌々年に200本ずつ、合計500本の苗木を定植しました。毎日、山椒の木々の小さな変化を楽しみに園地に足を運んでいます。

就農当初を振り返って、苦労したことはありますか

農業に関する知識や道具、当然のことながら住まいも園地も、何も持っていない状況からの始まりでしたが、山椒栽培について学べば学ぶほどますます農業の楽しさに没頭していきました。同時に、空き園地や耕作放棄地を探して回り、思い描く栽培環境にマッチした農地との出会いもありました。しかし、夢や希望とは裏腹に過酷な園地づくりの始まりでもありました。重機の免許を取得し、自分で草を刈り、地を均し、苦労を積み重ねながら自身の山椒園地の準備を進めました。今年、その山椒園地で初年度に定植した山椒の収穫を開始します。今は初収穫に向けて、毎日ワクワクしています。

今後の目標を教えてください

40年先まで栽培計画を立てています。これからの規模拡大や収量の推移を数値化して管理、計画的な木の本数管理と収量予測、計画値と違えば徹底的に原因究明と次年度に活かせる対策を考える、この取り組みをサイクル化して効率的に収益を生み出し、収穫量、売上で日本一を目指しています。自己資金ゼロから、ぶどう山椒の有機栽培で日本一を目指す。この先、自分と同じように新規就農にチャレンジする方々のロールモデルになりたい。そのために、効率的な生産体系の実践による収益性の向上を目指しています。

プロフィール

篠畑 雄介

  • 生産している主な農産物  ぶどう山椒
  • 営農地域:和歌山県有田川町

ぶどう山椒の伝統とブランドを守っていきたい。地域の方々と協力して、後継者の育成やSNSによる現地からの魅力発信に努めていきたいです。