農業者インタビュー
土と水とわたし#26
更新:2024年11月28日
今回は和歌山県有田川町で山椒を栽培する建畠操さんにお話を伺いました。清水地域の山椒を守っていきたいとの思いから、新規就農で山椒栽培を始める人や希望する農家に接ぎ木の講習会を実施するなど精力的に活動しながら、山椒栽培に取り組んでいます。
就農のきっかけを教えてください
農業は嫁ぎ先で始めました。義母から仕事を教わり、兼業だった夫に代わって子育てをしながらミカンや水稲、野菜栽培をしてきました。
山椒を栽培しようとした理由を教えてください
本格的に山椒栽培を始めたのは平成5年で、ミカンづくりが土地に適していなかったことや、身体への負担が比較的少なく長く仕事を続けていきたいとの思いから山椒栽培に切り替えました。
初年度は50本の苗木からスタートしました。当初は収量がごくわずかで、7年目ごろから安定して収穫ができるようになりました。知り合いに接ぎ木を依頼して、管理本数を年々増やしてきました。
山椒栽培への思いを教えてください
栽培当初は知り合いに苗木を依頼していましたが、接ぎ木作業を見ているうちに自分でもやってみたくなり、60歳の時に接ぎ木方法を教わり、自身で挑戦するようになりました。接ぎ木は春と秋の年に二度行えますが、秋接ぎは越冬が難しいので主に春シーズンに合わせて作業を行っています。天候により仕立てられる本数は増減しますが、毎年試行錯誤を重ねながらチャレンジしています。自分が育てた苗木を定植し、毎日丹精した山椒の木に実が生った瞬間が一番喜びを感じ、やりがいを感じる瞬間です。完成した苗木は園地に定植したり、消毒や草刈り作業を手伝ってくれる農家の方々へのお礼に配ったりしています。また、若い人たちに伝統を引継いでもらいたいとの思いから、新規就農で山椒栽培を始める人や希望する農家に接ぎ木の講習会を実施して技術を伝えています。
今後の目標を教えてください
二人三脚で農業に取り組んできた夫が14年前に他界し、落ち込んだ時期もありましたが、夫が亡くなる間際に親しいご近所の方に「妻が安心して農業が続けられるように助けてやって欲しい」と言い残してくれていました。その言葉を聞いた時、このまま終わってはいけない。夫の後を継いで畑を守っていかないといけないと前向きな気持ちで農業に励むきっかけとなりました。今も農業を続けていられるのは、周りの方々に助けられ支えられているから。ご近所の方々に助けてもらいながら、これからも身体が丈夫なうちは頑張って続けていきたいです。
プロフィール
建畠 操
- 生産している主な農産物 山椒、ゆず等
- 営農地域:和歌山県有田川町
手指を使う細やかな作業の接ぎ木は、仕事の一部であり、趣味のような楽しい時間でもあります。農業に携わりながら、明日はどんな作業をしようかと考えることが、毎日のモチベーションに繋がっています。