農業者インタビュー

農業者インタビュー

土と水とわたし#28

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更新:2025年1月30日

回は和歌山県広川町でセンリョウを栽培する小原鈴代さんにお話を伺いました。約45年前に地域の方々と立ち上げた「岩渕花木組合」とともに歩み、生産者同士が切磋琢磨しながらセンリョウ栽培の産地化を進めてきました。

センリョウ栽培を始めた理由を教えてください

センリョウ栽培を始めたのは、今から約45年前。この地域がセンリョウ栽培に適していたことから地域の方々と「岩渕花木組合」を立ち上げ、産地化することを目指して栽培を開始しました。

栽培技術や知識は、産地として当時からセンリョウ栽培が根付いていた日高郡真妻地区の生産者のもとを視察して学びました。現在は、寒冷紗で覆われた施設栽培がメインとなっていますが、当時は竹や木材で屋根と壁を組み立てた施設で管理をしていました。

センリョウは苗を定植してから3年は採花ができません。栽培開始に伴い、3aの園地に約5400本の苗を定植。初出荷まで大きなトラブルもなく順調に生育が進み、初出荷時の値段も良かったので、出荷できた時は嬉しく思いました。花木組合での生産・出荷が軌道に乗り始め、管理方法が確立されてきたころには、栽培開始当初5軒だった生産者も、最大で約15軒まで増加しました。

センリョウ栽培のここが難しいと感じるところはありますか

センリョウ自体は比較的軽く、平地での作業は身体への負担が少ないのですが、実の数や全体の綺麗さが商品価値に直結するため、運搬や荷造りには最新の注意を要するので非常に手間がかかります。

また、センリョウは主に正月用の切り花として使用されます。出荷に向けた採花作業は11月中下旬から12月にかけて行い、出荷の大半は毎年12月10日前後に市場で開かれる「センリョウ市」に出します。天候が悪いと作業が進まないので、決まった日付に合わせて採花と荷造りをすることはとても大変で忙しい年末を過ごしています。

農業の好きなところを教えください

昔から花が好きで、センリョウの赤い実が付いてくると可愛いし心が和みます。花木に囲まれながら仕事が出来ることに幸せを感じています。繁忙期になると、家族とのグループLINEに「手伝って欲しい」とメッセージを送ると、息子や孫が快く手伝いに駆け付けてくれます。忙しくても、孫や子どもたちと仕事ができることが楽しいです。

今後の目標を教えてください

近年では、温暖化が進み津木地域でもセンリョウ栽培が難しい環境となってきました。また、組合立ち上げ当初から切磋琢磨してきた近隣農家も、高齢化や台風による栽培施設の被害により農業を断念するなど、年々栽培戸数が減ってきています。寂しい思いがありますが、身体が元気なうちは、一生懸命頑張っていきたいと思っています。

プロフィール

小原 鈴代

  • 生産している主な農産物 センリョウ、ビシャコ、サカキ、水稲等
  • 営農地域:和歌山県広川町

繁忙期の年末はやることが多く、忙しい毎日を送っている小原さんですが、孫や子どもたちが手伝いに来てくれるので楽しく働けていますと笑顔で話してくれました。また、仕事の合間に海釣りやカラオケといった好きなことを楽しむ趣味の時間を取り入れて、充実した毎日を過ごしています。