農業者インタビュー

農業者インタビュー

土と水とわたし#29

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更新:2025年2月27日

回は和歌山県有田川町でユーカリを栽培する江川友樹さんにお話を伺いました。ミカン園地の隅に定植した約10本の苗からスタートしたユーカリ栽培。自分が育てて楽しいもの、消費者や市場関係者に喜んでもらえるものを作っていきたいと、園地の規模を拡大しながらチャレンジを続けています。

就農のきっかけを教えてください

就農したのは今から10年前です。関西の大学を卒業して会社勤めをしていましたが、奥さんの実家がミカン農家を営んでおり、後継者がいなかったことから「後を継がせてください」と志願して農業を始めました。就農当初の農業の経験はミカン収穫の手伝いだけ、就農後は、お義母さんから熱心な技術指導を受け、ミカン栽培に日々取り組んできました。

ユーカリ栽培を始めた理由を教えてください

就農から数年が経ったころ、温暖化による年々高まる夏の気温に危機感を感じ、将来的に有田地域でミカン栽培が難しくなるのではないかと不安を覚えました。柑橘栽培に励む傍ら、高温の気象条件でも安定して栽培ができるものはないかと考えはじめ、オーストラリア原産のユーカリ栽培に目を付けました。ガーデニングが大好きな母親の影響で、趣味として寄せ植えを楽しむなど、もともと花や庭木に興味があり、ユーカリ栽培を決心しました。

まずはミカン園地の隅に約10本の苗を定植。インターネットで栽培方法を調べ、試行錯誤しました。管理する品種は、樹高が1年で約3mに達するほど成長が早く、初年度から収穫可能なほどでした。年々栽培技術も身に付き、3年目には「いける」と自信が持てました。

ユーカリ栽培へのこだわりや思いを教えてください

作業は、3月の「台刈り」という切り株状態まで刈り込む剪定作業から始まり、4月以降は主枝を選別する芽かきや、葉や枝の綺麗さが非常に重要なため病害虫対策を徹底して行います。また、根が浅く樹高が高い特性上、風の影響を受けやすく台風シーズンには対策が欠かせません。一般的に収穫は10月からですが、私の園地ではミカンが終わった1月ごろから作業を開始します。順調だったユーカリ栽培ですが、2023年頃から多湿による病気が目立つようになりました。日本での病害虫防除はまだまだ確立されておらず、使用基準内で薬や液肥を試してみたり、密植させないように調整する対策をしています。猛暑に耐えたユーカリが収穫期を迎えると喜びが湧き上がります。苦労して育てたものを、知人や親族にプレゼントして喜ばれることが、やりがいを感じる瞬間になっています。

今後の目標を教えてください

今後の目標は、花木に関する知識をさらに深め、ミカンと花木の高品質栽培を両立させることです。消費者や市場関係者に心から喜んでもらえるものを作っていきたいと思っています。また、園地の規模を広げることや挑戦したい花木もあります。自分が育てて楽しいと思えるものに、これからもチャレンジを続けていきたいです。

プロフィール

江川 友樹

  • 生産している主な農産物 ユーカリ、温州ミカン、中晩柑類等
  • 営農地域:和歌山県有田川町

10本の苗からスタートしたユーカリ栽培。お義母さんや奥さんがとても協力的で、一緒に収穫作業をしたり、応援してくれています。ユーカリ園地は年々本数を増やし、園地の規模を広げています。江川さんはこれからも知人や親族、消費者や市場関係者に喜んでもらえるものを作っていきたいと力強く話してくれました。