おいしいみかんの見分け方
みかんの果実も人間と同じように個性があり、どれ一つとして同じものはありません。
大きさや外見、皮の硬さや厚さ、内袋の硬さや厚さ、中身の味(糖度や酸度)など・・・それは品種の違いによる特性や収穫適期の違い、栽培している園地の日当たりや排水等の条件、さらには、その年の気象条件、そして一本の木の中で、どの場所になっていたか?上の位置になっていたのか、下の方か?日当たりの良い位置か?などなど。 実はこれによる差が大きいのです。ですから、生産者はどのような位置にどのような果実を着ければおいしいみかんが作れるのか、を考えながらみかんを作っているのです。
基本的に異なる品種のものや異なる園地のものを混ぜて出荷することはありません。けれども、同じ品種、同じ園地(木)のみかんの中でも、それぞれ微妙においしさの違いがあります。
産地ではある程度のランク分け(等級や階級)、また味一みかん等産地ごとのこだわりの商品名などがあります。しかし、どのみかんを買うか、食べるかは、消費者の皆様の選択です。
ここでは、いくつかのみかんの中で、どれを選べばおいしいみかんを食べられるか?をご紹介させていただきます。但し、品種により「紅が濃くても酸っぱい」、「糖度が高くても皮が硬い」「形が悪くても甘い」など必ずしもそうでないものもありますので、一般的知識として参考にしていただければ幸いです。
見分け方ポイント
生産者はおいしいみかんを作るために栽培努力をしています。
紅が濃い、軸が細い、皮が薄い、形が良いなどのみかんを作るために、特に果実の生育期間である6月から、摘果などで生らす場所を選んで果実を作っているのです。
でも、ご承知の通り、自然条件の中で、工業製品のようにすべて同じ味とは行きませんので、様々なみかんがあって面白いのかもしれません。
- 下記のデータはあくまでも今回の測定結果ですので、すべてのみかんがこのような結果(差)になるかは、断言できません。
【測定日:平成28年11月30日/品種:宮川早生みかん】
色が濃い
気温が低下し収穫が近づいてくると、果皮や果肉にカロチノイドという色素の成分が生成されます。果実が十分に成熟し、この色素が十分生成され、果皮のオレンジ色が濃くなることで、果肉(食べる部分)が完熟して甘みも増しているということが考えられます。
基本的にまず紅が濃いみかんを選ぶことが第一歩です。
紅が濃いみかん
糖度:13.3 / 酸度:0.98
紅が薄いみかん
糖度:11.0 / 酸度:0.90
軸が細い
植物は栄養成長が盛んであれば、枝が良く伸び、果実も大きくなります。逆に栄養成長が衰え、生殖成長が盛んになると、果実が熟し、甘みが増します。
つまり栄養成長が盛んな枝は長く太くなる。みかんのヘタ(軸)が太いということは、栄養成長が強い(強かった)枝になっていた果実の可能性が高いということです。
軸が細いみかん
糖度:13.4 / 酸度:0.82
軸が太いみかん
糖度:11.0 / 酸度:1.11
ガク(ヘタ)が黄色い
果実が熟してくると、緑が薄くなり、やがてオレンジ色が濃くなってきます。その時点ではガクはまだ緑色ですが、やがて完熟してくると、ガクも黄色くなってきます。
ガクが緑色ならまだ成熟途中と言うこともできますが、黄色くなっていれば完熟であり食べ頃と言えます。
ガクが黄色のみかん
糖度:14.5 / 酸度:0.62
ガクが緑色のみかん
糖度:12.9 / 酸度:0.66
果皮が薄い
果皮が薄いというのは、夏の生育期間中(特に成熟期)に栄養成長が強すぎてなかったということ、つまり糖度が十分に生成されたと言えます。雨が少なく果実の肥大も抑制された場合、果皮は薄くなります。従って内袋(じょうのう)も薄くなり食感も良いでしょう。更に極端に水分不足の年には、果皮を生成する養水分が果実に十分行き渡らず、極端に薄い部分ができます。
デコボコした外見となり、ひどいものは規格外となりますが、ごく軽いものは(味が良いから)出荷されます。
これを見つけたら大当たり!とってもおいしい(味が濃い)みかんです。
皮が薄いみかん
糖度:13.1 / 酸度:0.89
皮が厚いみかん
糖度:11.3 / 酸度:1.02
皮が薄くデコボコしたみかん
糖度:14.0 / 酸度:0.97
形が良い
形が良くない(三角や四角っぽい形)ものは、果実内の成熟のバランスが良くないと考えられます。
また、成熟期に雨が多いなど水分を多く吸収しすぎたりすると、皮だけ成長を続けて、果皮と果肉の間に隙間ができる「浮皮」になることがあります。丸く、形の良いみかんでなくなります。これらは比較的薄い味のみかんになります。
形が良い果実
糖度:13.3 / 酸度:0.86
形が悪い果実
糖度:12.4 / 酸度:0.68
油胞(果皮のブツブツ)が細かい
みかんの皮をよく見ると、オレンジ色の濃いブツブツがあります。これを油胞(ゆほう)と呼びます。この中には精油中に広く含有される成分の一つ「リモネン」という物質などが含まれます。この成分は、柑橘系の香りを発するほか、油汚れなどの洗剤としても利用されています。で、このブツブツが細かい(果皮のキメが細かい)方がおいしいと言われています。果実が生育する過程で、細胞分裂が十分に行われ、中身(果肉)も十分に熟成した果実と考えられます。
生地が細かい果実
糖度:12.3 / 酸度:0.78
生地が粗い果実
糖度:10.9 / 酸度:1.04
傷は味には関係ない
傷などがなく、外観がきれいなものは等級が良く、値段も高く売れます。生産者は栽培期間中、傷が付かないように努力します。病害虫の被害を防いだり、台風など強風の対策をします。でも傷は味には関係ありません。収穫直前に付いた傷(生傷など)は腐敗につながりますので出荷しないように注意していますが、生育中に付いた傷は、すでに治癒して(傷跡は残るが完治している)いて、味には関係ありません。関係ないなら、むしろ安くてお得です。
擦り傷のあるみかん
糖度:13.6 / 酸度:0.81
無傷のみかん
糖度:13.4 / 酸度:0.76